この活動をしていく中で、多くの方が自分にできることからアクションを実行していることを感じたとき、本当に嬉しく思います。ですがまだ、アメリカを動かすには、もっともっと多くの人に、今ある現実をしっかりと認識して、考えてもらう必要を感じています。
この動画は、ビデオグラファーのNick Pezzilloさんが、アメリカでこれまでに起きた数々の警官による暴行事件や、歴史上のスピーチ、著名人の声、一般人の声などをかき集めて作り上げた素晴らしい映像です。視聴するには強い痛みや怒り、悲しみが伴います。また、尺が9分弱と非常に長いですが、お願いです。字幕をしっかり読みながら、映像を観ながら、最後までご覧ください。
最初この動画を観た時、これまでの数々の事件が、忘れられないフレーズが、銃声や叫び声とともに思い出されて涙が止まりませんでした。
この動画を直視するのは間違いなく辛い。ですが我々非黒人は目を逸らさずに観て、この絶望的で酷い現実を、まずはしっかりと認識するべきだと思い、字幕をつけてシェアしようと決めました。快くボランティアで翻訳してくださった Michi Yoshikawa さんも同様に、字幕をつけながら涙が止まらなかったとおっしゃってました。
出来あがった字幕版を再び観て、また涙ながらに思ったのは、この8分46秒という時間の長さ。ひとしきり泣いてもまだ続く映像。こんなに苦しんでもまだ終わらない、ジョージ・フロイドさんが地面に押さえつけられた9分弱という時間。
例のジョージ・フロイドさんの動画を観た方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。私これまで観ることが出来ずにいたのですが、つい先週、意を決して最後まで観ました。
死の淵で地面に顔をつけて絞り出した言葉は「お母さん、お母さん!」あんなに大きな体の成人の男性が、母親のことを呼ぶというのは、死の恐怖がすぐそこにあり、もうダメかもしれない、という切迫感を感じたからに他ないと思います。
本当に観るのが辛かった。 私たち日本人は、どんなに悲劇的で痛ましい事件でも、日本のメディアが痛々しく生々しい映像は片っ端からカットするし、放送できる部分は全てフィルターをかけるので、世の中の凄惨で暴力的な場面や、非情な人間の感情が剥き出しになったシーンを見ることはほとんどないですよね。(もちろんトラウマやPTSD、または視聴者からのクレームに配慮してのことなのではあるのですが)。
だから、このような紛れもないリアルを突きつけられると目を逸らしたくなる人が多いと思います。
最近こんな事がありました。
Facebookにシェアされた、警官による黒人への暴行動画に対して、日本在住のアフリカ系アメリカ人の友人が、「人種差別の問題に日本人は全然関心がなさそう、こういう動画を上げると全く反応が無い」とコメントしており、それに対して香港出身の別の人が「(片付けメソッドで有名なあの方を皮肉って)日本人はときめくものにしか興味がないからね」と返していて、それに賛同するかのようにたくさんのいいねがついていたのです。
それを観て、私は正直、冷酷で無関心な人間だと言われている気がして悔しかったですが、一方で、上に挙げた様な理由から、そう言われても仕方がなのかもしれない、とも思いました。
私たちは生まれた時から平和で感覚が鈍ってしまっているんです。 (平和ボケと揶揄されますが、平和ボケは平和だからこその言葉なので、世界中がそうなる世の中を目指すべきですけどね。)
香港も今、警察の度を超えた暴力で市民の生命が脅かされています。
私たちは、見たいものだけを見るのではなく、世界に目を向け、時には悲惨な動画もしっかりと受け止め現状を認識する必要があると思います。普通に感情が動く人であればこの動画を観て、怒り、悲しみ、理不尽さに対する苛立ち、絶望、様々な感情を抱くでしょう。そのエネルギーを、そこで押さえ込まず、一人ひとりが出来る範囲でアクションを起こすことが、同じ地球に人間として生まれたものの役割かなと思います。
私の役割は得意なインターネットを使って情報を発信することだと思っています。なので私はこのサイトを作り、SNSアカウントを立ち上げ、日本人向けに、アメリカで今なにが起こっているか、そしてアメリカの辿った歴史とはどういうものなのかを「日本語で」発信するこの役目を背負って、これからも続けていくつもりでおります✊
実は、次回のオンラインパネルディスカッションでもこの「文化の盗用」はメイントピックのひとつになっているので、イベントに参加する前に、色々とご自身でも調べてみたりしてくださいね。

私たち Japan for Black Lives について
私たち Japan for Black Livesは、黒人差別についての理解を深めてもらうために活動しています。メンバーはこちら。Instagram、Twitter、Facebook、LINE、そしてこのサイトを一緒に運営していただけるボランティアを随時募集しています。気になる方は各種ソーシャルメディアからダイレクトメッセージをお送り下さい。取材や講演のご依頼はメールでも受け付けています。japan4blacklivesにアットマーク以降はgmailです。