ミックスレース(=ハーフ)の友人が人通りの多い帰宅時間帯の東京駅構内で職務質問を受けました。警察の発言は偏見そのもの。動画は本人から提供してもらいました。日本の職務質問②「見た目で判断」レイシャル・プロファイリングという差別も併せてお読みください。
見た目が「外国人」または「外国ルーツを持つ人」という理由に基づいて、警察官から犯罪者又は犯罪者予備軍として扱われること——これをレイシャルプロファイリングと言います、これは公権力による人種差別であり、人間の尊厳を損なう重大な人権侵害です。
もくじ
この動画をその日のうちに私たちJapan 4 Black LivesのTwitter とInstagram、Facebook に投稿し、Twitterに至っては2/1現在で4000回以上リツイートされ、国内外のメディアから問い合わせが来ています。
これだけ注目を集めるということは、この動画の中での警察の振る舞いや言動が、それほどに色々とおかしいということです。もしあなたがこの動画を観て、何も疑問に思わないのであれば、あなたの偏見や差別に対する認識や理解は、この警官と同様、非常に足りない、もしくはとても遅れていると思われても仕方がないかもしれません。
私たちJP4BLの活動は、黒人差別や偏見から起こる問題への理解を深め、ともに学ぶことですので、今回この動画をシェアし、日本国内での差別の現状を通して皆さんの考えるきっかけになればいいなと思います。以下にこの動画を見る上で知っていただきたい事柄を挙げていきますね。
多くの人に浸透している先入観や思い込みのことで、偏見や差別的な意識とも関係しています。ポジティブなステレオタイプもありますが、逆もあります。ネガティブなステレオタイプの例として、「女性は家庭的な面がある方がいい」というステレオタイプから、料理が出来ない人や気が利かない人を「女子力が低い」と言ったり、血液型で性格を当てはめることもそうです。ハーフだから英語が話せる、黒人だからスポーツが得意、日本人はアニメ好き、田舎者は洗練されていない、など、世の中はステレオタイプで溢れています。ラベルを付けてそのグループに属する人をみんな一緒であると見てしまうことは、特に多様化された現代において、陥ってはいけない単純化した思考といえます。
ところがこの動画で警官は、何の疑いもなくさもありなんといった様子で「ドレッドヘアーでオシャレな人は薬物を持っていることが多い」と言い放っています。上記で説明したことを理解していれば、この発言がどれだけ問題となるかがわかるはずです。
アメリカでは黒人男性が他のどのグループよりも警察から止められる可能性が高く、警察から殺されるケースも多いです。アメリカで黒人が人口に占める割合は13%なのに対して、警察から殺された人に占める割合は25%にも及びます。このように警察による職質などの行為が特定の人種に対して偏っていることをレイシャル・プロファイリングと言い、大きな問題となっています。
日本においても外国人が職質を受けることが多く、特に黒人の方で職質を短期間に何度も受けたり、ひどい場合一日に数回受けるという話も実際にあります。私たち日本人が普通に生活している場面で殆ど職質を受けることがないのと同じように、彼らも日本で普通に生活しているのであれば、ただ肌の色が違う、国籍が違うだけで職質の対象になって苦痛を受けるのはおかしいですよね。
TED x 上智大学で日本の職務質問について、スピーチさせてもらいました。是非御覧ください。
「警官は肌の色に言及してない」
「それなのに肌の色を持ち出す方が差別主義者だ」
「職質は見た目で声かける人を選ぶしかないだろう」
この動画をTwitterで投稿したときに、上記のようなコメントを受けました。 「カラーブラインド」とは、もともとは人種で差別や区別が起きないように、人種を尋ねない、人種は関係ない、というリベラルな考えから来たものでしたが、それがネガティブに作用し、「人種がなければ、人種差別も存在しない」というような屁理屈が生まれ、人種差別が起きている現場でも、それをないものとしてしまう様なことが起こります。結果的に人種差別が黙認されてしまい、上記のようなコメントは、差別の加担者側となってしまいます。
ステレオタイプに対する認識が低いとはいえども、「あなたの肌の色が濃いから職質しました」なんてまさか言うわけないですよね?そして、警官はこのヘアスタイルと、「オシャレだから」ということを理由に声をかけたと自分で言っています。後者は完全に、髪型で声をかけたことを無理やりポジティブな理由にこじつけているのではないでしょうか?
そして髪型について。まずこの青年はブラックのミックスなので、彼にとってこのヘアスタイルは、ナチュラルであり、髪質的にも合っていて、彼らの長い歴史で築いたカルチャーでもあります。言わずもがなこの髪型をしているのが最も多いのが黒人の人たちです。 ここで、「間接差別」という概念がでてきます。「黒人」と言っていないから人種とは関係がないといように取り繕っても、事実として黒人の人たちが他のグループよりも職質を多く受けている、つまり彼らに不利益がある場合、これは間接差別に遭っていると言えます。
また、間接差別は日本において、男女雇用機会均等法などの法律により厳しく禁止されています。人種においてもアメリカでは取り締まられます。多様化が進む社会で、日本だからセーフという考えはおかしいですよね。
「やましいことがないなら職質に協力すればいい」
「ドレッドヘアーをやめればいい」
「被害妄想でしょ」「自意識過剰」
「警官が顔を晒されて可哀想」
動画に対してTwitterでこの様なコメントが見られました。どのコメントもこの問題の解決に一切つながりませんし非常に主観的です。差別問題で日本人に対して度々上がる声として、「共感力に欠ける」というのがあります。日本人は、日本に暮らしていればマジョリティ(多数派)グループに属するので人種差別に遭うことはありません。だからこそ、共感力が必要とされるわけです。もしあなたが差別問題に対してあまりよく知らなかったとしても、「よくわからないけど差別は良くないしなくなればいいな」と思っているのであれば、上記で上げた様な超主観的なエゴを、被差別者に対して絶対に向けるべきではありません。なぜならマジョリティの声や態度でマイノリティの訴えは簡単にかき消されてしまうからです。
よく、「黒人の差別問題に対してよく知らない自分が首を突っ込んでもいいのかわからない」という声を聞きます。ですが実際は、当事者でない周りの人たちが立ち上がって声を上げて、マジョリティという特権を惜しみなく行使すべきなんです。
例えばアメリカで、有色人種に対する不平等を、あらゆる職種で特権を持っている白人たちが一斉に立ち上がってなくそうとアクションを起こせば、少なくとも「制度的な人種差別(システミックレイシズム)」は一瞬でなくなるのではないでしょうか。だから、周りの人たちの声ほど重要なのです。BLM運動においても同じと言えます。
東洋経済にこの様な記事がありました。
記事全部上記リンクから読んで欲しいのですが、如何にポイントを抜粋します。
「地域警察官13万9000人に対し、職質による検挙件数は3万5334件。1警官当たりの検挙件数は約0.27件にしかならない。つまり、1人の地域警察官が年間通じて職質で犯罪を検挙するのは”1件にも満たない”のだ。」
よって、警察の再教育はもちろんですが、職質のあり方を一度考えるべきではないのかなと思いました。
もしあなたが、差別がなくなる世の中を望んでいるのであれば、被差別者側の精神的苦痛や、我々が想像だにしない日々のプレッシャー(たとえば警官を見かけるたびに、また声をかけられるかもしれないという緊張感がはしることなど)に対して、どうこう意見するべきではありません。「でも」も「だって」もなく、まず最初に共感しようとすることが大事だと思います。
- 彼らの苦しみを自分自身のものとして受け止めよう(共感)
- 怖くても立ち上がろう(周りに広める勇気)
- 自分が持っている特権を、それを持たない人へ譲り渡そう(周りの声の重要さ)
- あなた自身も痛みを感じても、話すべきはあなたのことではないことを理解しよう(エゴを押し付けない、特権側の立場でアドバイスをしない)
署名を行っています。まだまだ全然数が足りません。ぜひご協力ください!
見た目が「外国人」または「外国ルーツを持つ人」という理由に基づいて、警察官から犯罪者又は犯罪者予備軍として扱われること——これをレイシャルプロファイリングと言います、これは公権力による人種差別であり、人間の尊厳を損なう重大な人権侵害です。
ポリタスTVにて、署名のこと、レイシャルプロファイリングのことを話させていただきました。
日本のメディアに問題提起してもらえること、本当にありがたいです。もしサポートしたいと思ってくださっている方や、こんな偏見に満ちた職質ありえないと思ってくださる方は、ぜひこの記事をシェアして、問題提起をしていただけませんか。一人でも多くの人にこのことを知って欲しくて活動しています。
「ドレッドヘアーは薬物持つ人多い」ミックスの男性への職質、「差別的で違法」と波紋
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6022839dc5b6d78d4449d1f4
「ドレッドヘアーは薬物持つ人多い」ミックスの男性への職質、「差別的で違法」と波紋
https://news.yahoo.co.jp/articles/b091a2228021fb18c7971eac5b4c10741159fc82
フランス大手メディアFrance24にこの問題が取り上げられました。記事はフランス語、英語、アラビア語で書かれています。以下のリンクより御覧ください。(英語)
Japanese policeman admits to searching Black man because of his dreadlocks
https://f24.my/7L04
アメリカ(カナダ)大手メディア、VICEに取材を受けました。日本語版が後に出る予定です。
What It’s Like Being Black, Japanese, and Constantly Stopped By Police For No Reason
https://www.vice.com/en/article/bvxanv/what-its-like-being-black-japan
AbemaTVにて毎日お昼に放送中のABEMAヒルズという報道番組にて13分ほどの取材動画としてインタビューされました。
Japan for Black Livesについて
わたしたちは、日本国内にある黒人差別の現状を、日本にいる多くの人に認識してもらうべく発信しています。差別問題はまず現状を知ることから始まります。そして学び、当事者の声を聞いて共感し、共に声を上げ、改善するアクションを起こし、ともに世の中を変えていきましょう。メンバーは こちら。お問い合わせや講演などのご依頼はメールでお願いします。
これはどの世界にもある‟一部のせいで全体の印象を悪くなる”典型的な例である。
JazzやHip Hop、ブレイクダンスなど多くのカルチャーを生み出した半面、確かに原宿の竹下通りや上野のアメ横で雑居ビルの地下に連れ込み偽者のブランド品を売りつけるという事を多く見かける、一定数の悪が大気な要因ではなかろうか?
日本は生きづらいかもしれない、しかし過去にもアイヌ民族や琉球民族を差別をした我々大和民族は、多民族国家のアメリカやカナダから日本という閉鎖され外部からの民族の受け入れ文化のない国であり、我々、大和民族も海外へ移住すれば「イエローモンキー」や「Jap」などと差別されることもあるだろう、自分がこう言われた嫌だと旅行や移住した事もないような人が差別をする、正に「井の中の蛙大海を知らず」状態なのではないのだろうか?
文章の主語がよくわからないのですが、誰が「蛙」だとおっしゃりたいのですか?
私はこの記事の件をLINEニュースで読みました。ここの代表の方のコメントに少々疑問を感じました。ドレッドはカルチャーだからと。確かにアフリカ系の方々にはそれが当たり前でしょう。ただここは日本です。日本にはドレッド文化はありません。そして日本は残念ながら移民を受け入れて来なかったので、日本国籍を持っていようと、どんなに日本語がネイティブでも、見た目が日本人でなければ外国人と思う人種です。この彼のご両親の片方がバハマと書いてあったと思いますが、だから彼の髪質もドレッドにするのがベストなのかも知れません。ただ、映画の影響だったり、(この表現しか思いつきませんが)明らかな外国人以外の人がドレッドヘアだったり、目立つ出で立ちでいると、どうしてもチャラチャラしている。ドレッドがアフリカ系で当たり前でも、日本ではどうしても奇抜と思われてしまい、いわゆる不良と見られがちです。また、この代表の方の発言で、日本人のサラサラの髪に、無理やりおしゃれでしているのとは違う。というこの発言はすでに差別ではありませんか?この彼がドレッドをするのは髪質に合っているから当然だけれど、もしそうではない人間がドレッドをしていて職質を受けたら、それは仕方のないことですか?[無理やりおしゃれで…]と言う時点で、紛れもない差別ではありませんか?日本人でも純粋にその国や音楽などが好きで敬愛の気持でドレッドをしている人もいると思います。
ただ彼が何度も職質を受け悲しい思いをされているのは残念に思います。
そして、私が1番思うこと。差別はよくない。でも、そう訴える人々は誰のことも差別しないのでしょうか?近年のアメリカの警察による黒人差別は目も当てられないほど酷いです。人間の命を簡単に奪ってはいけない。しかしながら、Black Lives Matterと叫ぶ人達は誰のことも差別しませんか?結局黒人さんの中にもアジア人などに対して差別する人はいるし、国で見ると日本人なんかは中韓に対して差別している人が多いです。その逆も同じ。一個人でみても[自分は差別しない]と思っていても、知らぬ間に誰かを差別しています。私も差別はしない。そう思っていますが、生理的に無理な人に態度には出さなくても、思ってる時点でやはり差別なんだと思います。国籍が違う、肌の色が違う、美人、不美人、学歴、職業、ありとあらゆるところに差別はあります。学べるはずの人間ですが、学ぼう、変えようと思う人間はごく僅かなんだろうと感じます。日本で誹謗中傷を苦に自殺した芸能人の女性がいました。その時は良くない、やめようという動きだったのに、少し経ったらネット上ではまた誹謗中傷の嵐。隣の芝生は青く見えたり、誰かより自分が優位でありたかったり…私はこの地球上で人間は素晴らしい半面、愚かな生き物だと思っています。そんな愚かな人間が作りあげた価値、価値観のせいで人間は這い上がるのことの出来ない地獄に生きていると思っています。どんなに誰かが声を上げようと、差別も誹謗中傷も犯罪も何も無くならない。そんな世の中を作ったのが人間です。
最終的に何がおっしゃりたいのかよくわからなかったのですが、私から言えることは以下です。
①「ただここは日本です」だから大目に見るべきとおっしゃりたいのですか?日本だけ特別ルールなんてありません。ただ、日本人がアメリカと違って、移民がこれまで少なく、日本人が圧倒的なマジョリティであったことから、この様な黒人差別などの認識が低いのは仕方がないことではあると思います。ただ、それを「ここは日本です」といって突っぱねるのではなく、これを機会に学べばより良い世の中になる、それだけのことではないですか?
「映画の影響だったり」でチャラチャラした印象・・・はい、それがステレオタイプであり、相手を固定観念で見てしまうという、良くないことなのです。
②「差別は良くないけど、だれしも知らぬ間に他の人を差別してませんか?」といった内容のことですが、もちろんあらゆる差別はあってはいけないことですし、私も聖人ではないので、気づかないうちに誰かを傷つけているかもしれません。ですが今この話をしているときに、他の問題もあるだろうと言うのは、目の前の話しから逸れるだけではありませんか?黒人が警察の暴力によって殺されている時に「BLACK LIVES MATTER」と叫んで抗議していたら、横から「ALL LIVES MATTER」と言われるようなものです。
もちろん、あらゆる差別はいけない。ですが私は自分の人生とブラックカルチャーが大きく関わっているから、恩返しがしたい一心でこの活動をはじめました。
あなたは「どんなに誰かが声を上げようと、差別も誹謗中傷も犯罪も何も無くならない。」というコメントで文章を締めくくっていますが、私は逆で、これをきっかけにその他の差別にも昔より敏感になったし、あらゆる差別がなくなってほしいという思いはより一層強くなっていますし、黒人差別以外のいろんな世の中の理不尽に声を上げることも多くなりました。
そういうことじゃないでしょうか。
”動画に対してTwitterでこの様なコメントが見られました。どのコメントもこの問題の解決に一切つながりませんし非常に主観的です。”
あなたの人種差別の思い込みも非常に主観的では?
私の「人種差別の思い込み」とは具体的にどの部分が思い込みであるのでしょうか?
この件全体が思い込みということであれば、では何故多くのメディアが取り上げたのでしょうか?