「文化の盗用」― 色んな国の様々なケースがありますが、アフリカン・アメリカンの方々の文化を表現することにおいては、しばしば問題視されることがあるので、「文化を消費する側はどうあるべきか」について考えてみましょう。
もくじ
これから紹介する動画に出てくる、Substantial さんは、米メリーランド出身のMC、プロデューサー。ジャジーヒップホップのトラックメイカーとして名を馳せた日本人プロデューサー、故・Nujabesともコラボしていたので、日本とも深く関わりのあるアーティストです。この動画で彼は、Cultural appropriation =「文化の盗用」とならないためにはどう在るべきかについて、話しています。
繰り返しますが、この「文化の盗用」について、多くのアフリカ系アメリカ人は問題視しています。その中にはもちろん、日本人の一部の人たちがコスチュームのように黒人文化を身に纏うこと等々も含まれていると思います。また、今のように人種差別が大きな問題になっている中、ブラックカルチャーに恩恵を受けていてなおかつ影響力のある有名人のような人たちが何も発言しないし、黒人の方たちをサポートする姿勢が見えない、ということがあったとき、彼らは「ちょっと待ってくれよ」と思うのです。
一方で、この「文化の盗用」という言葉の意味や、これについての感覚というものが、私たち日本人にはなかなか伝わりにくいのではないかな?と感じています。何故ならば、私はSNSでこの様なコメントをよく見かけるからです。
黒人文化好きだし、リスペクトしているからこそ、ドレッドヘアーなどのヘアスタイルを真似してもいいのでは?
これはHIPHOPっていうか、「日本語ラップ」だから、ブラックカルチャーはあまり関係ないと思うけど。文化はどんどん新しいものと融合されて変化していくものでもあると思う。
そんな言うなら、ブラックカルチャー関連はもう何もやっちゃいけないってこと?
黒人の人たち、正直ちょっと気にしすぎだと思う
外国人だって着物着るじゃん、だけど別に私怒ってないけど・・・。
少し厳しい言い方かもしれませんが、これらのコメントは、ひょっとしたら自身の学びが不足していることを自らひけらかしているのと一緒かもしれません。彼らの歴史的背景を知っていたら、軽々しく扱えないのではないかと思います。
結果的には、彼らのほとんどは私たちにとてもとても寛容です。その証拠に、あなたがラップをしてもファッションを真似しても、それらを仕事にしてがっぽり儲けていても、糾弾されたりましてや暴力で制裁されるなんてことは、まず絶対ありませんよね。
ただ彼らは、「リスペクトを忘れないで、機会があれば、黒人文化の伝道師として、黒人が苦しみの中から築き上げてきた文化を、あなたの国の人たちに紹介するのを忘れないでね、自分たちが窮地にいるときは、サポートの姿勢を見せてね。」と言っているだけなのです。
影響力のある人ならなおさら、その力を使ってより多くの人に、自分がやっていることは黒人から影響を受けたんだということを伝えて欲しいし、差別によって下げられた黒人の地位向上を手伝って欲しいと言っているんですよね。そして、この部分が欠けていることこそが、黒人の良いところだけをコスチュームのように身に纏う「文化の盗用」だと思いました。
ボブ・ジェームスは言わずとしれたグラミー賞受賞・ノミネート多数の偉大な偉大な本当に偉大な、ジャズシーンのレジェンドです。御年80歳。
この動画の中で、白人である彼が黒人のミュージシャンたちにどれほど影響を受けて、今の自分という存在が在るのかを、心からの敬意を以て称しています。また、当然ながらジャズの歴史やバックグラウンドを理解し、感謝し、そして今のように彼らが大変な時にはこうやって声に出して世の中に発信する。これこそがnon-blackである私たちが、彼らアフリカン・アメリカンのカルチャー(音楽、ダンス、ファッションなど全て)を享受する際のあるべき姿勢のお手本だと思います。
Run DMC、A Tribe Called Quest、Slick Rick、LL Cool J、Beastie Boys、挙げたら本当にきりがないくらい非常に多くのHIPHOPアーティストの名曲にボブ・ジェームスの作品がサンプリングされています(その数600曲以上)
このお互いの関係性は、リスペクト無しでは起こりえません。ボブ・ジェームスはジャズのレジェンドであると同時に、ヒップホップ界でもレジェンドと呼ばれています。
先日Instagramで日系ラッパー MIYACHI の新曲「ALLERGY」を紹介しました。
彼は、ラッパーたちがファッション/スタイルだけ真似して、文化を知ろうともしない今のヒップホップシーンに対して、「文化の泥棒は俺たちのエネミー(敵)」と、警笛を鳴らしています。文化の泥棒、つまりこれも Cultural Appropriation のことを指しているわけです。リリックに注目して動画をご覧ください。
実は、次回のオンラインパネルディスカッションでもこの「文化の盗用」はメイントピックのひとつになっているので、イベントに参加する前に、色々とご自身でも調べてみたりしてくださいね。
※「アーバン」という言葉については、もともとブラック・ミュージックのジャンルのひとつを表す言葉として存在してきましたが、次第にジャンルを超えて、ブラックの人たちの人種全体を表す言葉、しかも少しネガティブな意味での「ゲットー」や「ストリート」の意味合いを含めて使われるようになったため、差別的に取らえられることを懸念し、このBkack Lives Matter運動のさなかの2020年6月、Republic Recordsが今後音楽ジャンルにおいて「アーバン」という用語の使用禁止を発表しました。これをきっかけにグラミー賞でのカテゴリー名としてのアーバンを廃止など、使用をやめる動きが広がっている。
Japan for Black Livesについて
わたしたちは、日本国内にある黒人差別の現状を、日本にいる多くの人に認識してもらうべく発信しています。差別問題はまず現状を知ることから始まります。そして学び、当事者の声を聞いて共感し、共に声を上げ、改善するアクションを起こし、ともに世の中を変えていきましょう。メンバーは こちら。お問い合わせや講演などのご依頼はメールでお願いします。
こんにちは!
black lives matter について調べていたら辿り着きました。
すべて日本語でありがたいです。
質問したいのが文化の盗用についてです。
Substantialさんの動画で、黒人の文化が一部の人達にはそうと認められていない
という事実が分かりやすく説明されていてよかったです。
また、これは決して文句ではなく、一意見として聞いて頂きたいのですが、
文化の盗用について、『わたしはブラックミュージックが好き!』
などとコメントしている人は、本当に好きだと思うので、知識がないなどと軽蔑しないでほしいです。
そのコメントした人たちがどれだけ黒人差別について学んだか、他の人には到底分からないので(理解力が乏しい人間もいます。私もそうです)。
それよりもわかりやすく説明してあげてほしいです。
文化の盗用とは、
社会において有利な立場の者が、不利な立場の者の文化を搾取すること
であって、
あなたが好きなブラックミュージックを聴いて、カラオケで歌ったりしても文化の盗用にはならない
ということ(もしあなたが有名になって、公で歌うようになったら黒人文化の素晴らしさをみんなに伝えてあげてね)
くらいにしてあげてほしいです。
また、ここに来て勉強しようと思っている人たちがその一言を言われた事で挫折してしまってはもったいないと思います。
このページにたどり着いたのなら、さらにblack lives matter の輪を広げていってほしいからです。
フジテレビの小倉さんも言っていましたが、
心から黒人に憧れている日本人は少なくありません。
そういう人たちの一部は、文化の盗用について、リスペクトしているのに何が悪いの?
と思ったとしてもわたしは全ては否定しません。
相手の文化を理解しようという気持ちが大事だし、寄り添う心が大切だと思います。
著作権なども人の性格により気にする気にしないがあるのと一緒で、
文化の盗用もなかなか全員には浸透するには時間がかかるかもしれませんし、
一番重要なのは有名人、政治家が声をあげてくれることですよね。
長くなりましたが質問です。
文化の盗用のボーダーラインが分かりません。
なるべくなら、知らないうちに人を傷つけたくないので、明確なものがあれば知りたいです。
または、みんなで気づいたものがあればその都度決めていくものなんでしょうか?
それこそ受け取る側、または第三者が決めることだったりするので、みんなの文化の盗用だと思うことはバラバラだと思います(ドレッドヘアなどもいまおしゃれでしている黒人の人もいるので)
。
みんなにとっての文化の盗用について興味があります。
ここで返答がないのは「文化の盗用」という言葉の定義が人によってまちまちだからではないかと思ってます。