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文化の盗用|後編:KPOPと文化の盗用と黒人文化

「文化の盗用」について色んな記事や事例を読んでも、次から次に疑問が湧いてきていまいち理解できない、という方は多いです。そこで、私が理解を深めるにあたってわかりやすかったアプローチや事例を混ぜながら、また、よく頂く質問を記事で解説しながら、丁寧に説明します。

前編・後編と通して読めば「文化の盗用」への理解が進むかも

こんにちは、Naomiです。

前編に引き続き、日本の皆さんに知って欲しい「文化の盗用」問題について書いています。この回は私の好きなBTSの例を挙げて、ARMY(=BTSのファン)の皆さんとも一緒に考えていきたいと思います。また、こちらは「後編」となりますので、まだ前編を読まれてない方は理解促進のためぜひ、いえ必ず、そちらを先にお読みいただき、文化の盗用の理解への基礎を作っていただいた上で、この後編記事に進んでいただければと思います。

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第4章「文化の盗用」ではなく「文化への敬意」へ

前編では、普段接している音楽やダンス、ファッションなどはルーツを辿ればブラックカルチャー(黒人文化)に行き着くということ、つまり、ブラックカルチャーがどれだけ日本人の生活に密接に関わっているかについて説明しました。そして、その関わり方によっては、「文化を盗用している」と捉えられることや、なぜそう捉えられるのかについても、例を挙げながら解説してきました。

それでも、私たちはブラックカルチャーが大好きだし、ブラックカルチャーが生み出したK-POPやJ-POP、日本語のラップなどが大好きだし、ブラックカルチャーに人生を救われた、ブラックカルチャーは心の支えだ、ブラックカルチャーでお金を稼いで生活している、という人たちはたくさんいます。では、ブラックカルチャーに恩恵を受ける私たちには、どの様な責任があるのかを考えてみましょう。

下の図は「文化の盗用」を図式化したものです。この図は資本主義社会における様々な組織の構造に当てはまります。

「文化の盗用」ではなく「文化への敬意」へ

上の図を、音楽業界の盗用の例に当てはめてみると、赤い部分の「特権的な立場にある人」はマイノリティの文化を使って、自分たちが持つ地位や財力をもとに商売を大きくしたり、版権を独占したり、自分の文化圏の人の好みに合わせてオリジナルを好き勝手に改変したりということが起こります。また、他者の文化を借りて利益を得ているにもかかわらず、文化のオリジナルの人を雇用したり、金銭的な還元や、文化のサポートは一切しないとします。マイノリティの文化が称賛されているのに、当の本人たちの生活には何も変化がありません。

・・・これだと、文化は搾取され、商業利用された挙げ句、オリジナルの人たちの存在感さえも消されてしまいます。では、どうあるべきか。下の図をご覧ください。

水色の文字・白背景の部分は、文化を借りた側が出来る「Cultural Appriciation(カルチュラル・アプリシエーション=文化への敬意)」の一例です。

黄色背景の部分は、「文化を借りた側が影響を与える人たち(=消費者)」が特に出来ることの一例です。つまり、BTSを例に上げるならば、黄色い部分はARMYが出来る文化への寄与です。「KPOP」というジャンルで切り離すのではなく、BTSが影響を受けた音楽(ブラックミュージック)の背景にある歴史や文化を理解し、正しい情報を知るということはその文化へのリスペクトに繋がります。2020年にブラックライブズマター運動の一環として、BTSとARMYがそれぞれ寄付をしましたが、文化を借りた者として、当事者が大変な時にサポートすることは当然の責任だと考えます。文化を生み出したグループの人々を切り離さずに、常に関わり合うことがポイントです。

下の動画は、音楽家ボブ・ジェームスが、ブラックライブズマター運動が活発な2020年6月に自身のインスタグラムにアップした動画です。ボブ・ジェームスは言わずとしれたグラミー賞受賞・ノミネート多数の偉大な偉大な本当に偉大な、ジャズシーンのレジェンドです。御年82歳。

この動画の少し前に、黒人男性のジョージ・フロイドさんが、警察に9分弱の間地面に首を圧迫され、殺害されました。これがきっかけとなり、ブラックライブズマター(=黒人の命も大事だ)運動が世界中に拡大したので、この事件をご存じの方も多いと思います。
動画の中で、白人である彼が黒人のミュージシャンたちにどれほど影響を受けて、今の自分という存在が在るのかを、心からの敬意を以て称しています。ジャズの歴史やバックグラウンドを理解し、感謝し、そして彼らが大変な時にはこのように声に出して世の中に発信する。non-blackである私たちが、ブラックカルチャーを享受する際の手本になる姿勢だと思います。

Run DMC、A Tribe Called Quest、Slick Rick、LL Cool J、Beastie Boys・・・挙げたらきりがないくらいたくさんのHIPHOPアーティストの名曲にボブ・ジェームスの作品がサンプリングされています(その数600曲以上)
このお互いの関係性は、リスペクト無しでは起こりえません。ボブ・ジェームスはジャズのレジェンドであると同時に、ヒップホップ界でもレジェンドと呼ばれています。

ここで、私の好きな動画をご紹介します。

ビヨンセの曲に、“Run the World (Girls)”という曲があるのですが、その振り付けに使われたアフリカのストリートダンスがあります。この動画はそのダンスを直接本人たちに教えてもらい、ミュージックビデオにも出演してもらうために、アフリカでなんと4ヶ月かけてそのダンサーたちを探し出し、LAへ呼んだときのエピソードです。彼らは世界を代表する歌姫ビヨンセのことは知りませんでした。ですがビヨンセは気にもとめず、そのダンスのオリジナルの方々から直接ダンスを習い、ミュージックビデオにも出演依頼をしたのです。このダンスはモザンビークの二人のダンサーと共にまたたく間に世界に広がりました。ビヨンセは文化に敬意を示しながら、その文化を知らない人たちに伝えるメッセンジャーの役割をしたと思いました。通訳の方が「サポートをありがとう」と言っています。

参考映画 『マ・レイニーのブラックボトム』

ブルースの母と呼ばれる黒人歌手マ・レイニーの物語。白人が牛耳る音楽業界で差別を受けながらも自分を安売りしない強い女性の実話です。実際のマ・レイニーですが、米音楽業界に大きな影響を与えたのに、写真が数枚しか残されていません。これは、たとえ素晴らしい実力があったとしても、黒人女性が第一線でスポットライトを浴びることがいかに難しかったかを表しています。
(以下ネタバレ)故チャドウィック・ボーズマン演じる黒人音楽家の曲が安く買い叩かれ、ラストシーンでは彼を含まない白人だけのバンドで演奏されている現実に愕然とします。

第5章 BTSの文化の盗用に対する取り組み

ここでやっとBTSの話になります。
BTSのラップ担当、j-hopeがソロで2019年の9月にリリースした「Chicken Noodle Soup」という曲があります。(以下CNSと書きますね)

この曲には元ネタがあります。2006年にDJ Webstarと、Young B(Bianca Bonnie)​​が出した同名の曲です。当時この曲は本当に大ヒットしました。

CNSはj-hopeにとって、子どもの頃に初めてダンスを踊った曲であり、コラボ相手の、 Becky Gにとっても思い入れのある曲ということで、念願かなってのカバーだったそうです。

私は2020年からのARMYなので、j-hopeがCNSをカバーしていたことは後から知ることになったのですが、ミュージックビデオを観るとわかるように、大勢の黒人の子どもたちがBiancaらの地元であるニューヨーク・ハーレムの街角などで踊っているような内容です。歌詞を見てもハーレムのストリートや住所がたくさん出てきて、まさにレペゼンハーレム、つまり彼女たちのhood(地元)に根付いた特別な曲なんです。この曲をきっかけに彼女はブレイクし、有名アーティストの仲間入りを果たしました。黒人の女性アーティストとして、こんなに若くして(Biancaは当時16歳)成功を収めたというのは、本当に凄いことなんです。

これを、韓国の超人気ボーイグループのメンバーがカバーしたとなると・・・私は真っ先に「文化の盗用」問題が取り沙汰されなかったのか気になりました。正直、黒人の方々から強い批判を受けそうな曲をよくやろうと思ったなー、というのが、私が最初に持った感想でした。

そこで、両者の間に一体どういうディールがあったのか調べました。すると本当に驚くべき事実がわかりました。

楽曲に対する取り組み

まず、Billboardのこちらの記事によると、j-hopeサイドが既にリメイクが完了した曲をBiancaの叔父でもあるDJ Webstarへ送り、お伺いを立てたとのこと。BiancaとWebstarはリメイクが気に入ったのでGOサインを出すことに。そのときに支払われた使用料というのが、後からBianca本人がインスタでぽろっと明らかにするのですが、なんと270万ドル、当時で約3億円です。

版権を買い取るとかではなく、使用料として3億円。正直相場がどのくらいなのかわからないのですが破格なのではないでしょうか。NOという方が馬鹿げてるくらいの莫大な金額を提示して、合意を取る様は資本主義社会そのものという感じです。お金を払うのは当然ですが、それを簡単にできてしまうことを考えると、j-hopeサイドにとって他文化の人たちが苦労して作った楽曲を借りること自体は、とても簡単なことのようです。

よくある流れだとこのあとは、リメイク曲が売れた場合、そこにしか注目が集まらず、オリジナル曲やその製作者の苦労は影に隠れてしまいます。音楽業界やダンス業界ではオリジナルの人たちがクレジットを受ける、という当たり前のことが不十分なケースが往々にしてみられます。

ですが、j-hopeと彼のチーム、そしてARMYはここから先が違いました。まず、CNSリリース後に、「ThankYouBianca」というハッシュタグがTwitterの世界トレンドで1位になったんです。既に2019年の時点でBTSは世界中に圧倒的な影響力を持っていたので、曲が売れるのは想定内だったでしょう。その上で、リリース後実際にCNSが世界中でトレンドになった時、原作者が置き去りにならず、ツイート内で常に彼女への感謝がハッシュタグとしてクレジットされているというのは、オリジナルへ敬意を表す素晴らしいアイデアだと思いました。

CNSリリース直後、BiancaのInstagramストーリーズで彼女は動画を投稿し、その中でこう語っています。

So I’ve just been laying in the bed all morning, you know, watching social media, everybody talking about the Becky G and BTS remake of ‘Chicken Noodle Soup.’ And I just want to shout out to BTS and Becky G because I’m trending worldwide No. 3 right now. ‘Thank You Bianca’ is the hashtag.

今日は朝からずっとベッドでソーシャルメディアを見てるんだけど、誰もがBecky GとBTSのChicken Noodle Soupリメイクの話をしてるわ!BTSとBecky Gにはただただありがとうって言いたい。だって今、”ThankYouBianca” が(Twitterの)世界トレンドで3位なの。

The remake really is dope to me. ‘Chicken Noodle Soup’ has been out for almost 15 years now. And it’s really really dope to me that, you know, this new generation can even still tap into it so I think it’s amazing.

リメイク版、本当にヤバいと思う。Chicken Noodle Soupはリリースして15年も経ってるけど、若い子たちが夢中になってるってすごいことだわ。

また、もうひとりの原作者DJ Webstarも自身のソーシャルメディアに動画を投稿し、この様に語っています。

You know, shout out to everybody who has been hitting me up about the ‘Chicken Noodle Soup’ remake. Them kids did an amazing job. They doin’ the right thing.

Chicken Noodle Soupのリメイク版のことで俺に連絡をくれたみんなにありがとうって言いたい。彼らは素晴らしいことをしたよ。正しいことをしている。

Nothing like getting a check when you least expect. Chicken Noodle Soup. Brand new coup.

思いがけない小切手は最高だ。Chicken Noodle Soup、新しいクーデター。

彼のコメントの中にある They doin’ the right thing ですが、色々な解釈は出来ると思うのですが、一つの意味として、CNSを正しい方法で取り扱ってくれたことを言っているのではないでしょうか。黒人、特に音楽業界にいる人たちにとって、「文化の盗用」はうんざりするほど目の当たりにしてきているものです。(もちろん、彼らがネガティブなことを言う気にならないほど十分なお金を貰っているということも当然あるのですが。)

正直、K-POP産業にしても、ブラックカルチャーを借りて「K-POP」と名付けカテゴライズして儲けている構図には違いないので、K-POPアーティストたちの黒人文化に対するリスペクトや理解が足りないと感じる場面があると、モヤモヤしたり、不快に思う黒人の方々はたくさんいます。そんな中、CNSを取り巻く一連のアクションは、これまでに見なかったものだったのではないでしょうか。

これらを成し得た理由の一つとしてBTSのファンダムが厚く、多様性があるので、その中にいる当事者(黒人ルーツがある人達)を中心に声が上がったのではないかと考えています。実際どのようにしてハッシュタグが出来て、それがトレンド入りしたのかはわからないのですが、見た所、事務所が仕掛けたのではなく、ファンダムから起こったもののようです。私は、このトレンドを作ってくれたARMYの方に、お礼を言いたいです。素晴らしい現象だと思いました。ありがとうございます。

ここまでの参考記事

ダンサーへのリスペクト

もう一つ言及しておきたいのが、ダンサーへのリスペクトについてです。オリジナルのCNSのミュージックビデオでは、ニューヨークのキッズが数多く出演しダンスしています。j-hopeバージョンのCNSでも、ブラックのダンサーを中心に様々な人種のダンサーが参加しています。現地のダンサーを起用するのは、雇用と、彼らにとっては実績になるので、とても大事なことです。また、曲の最後にダンサー全員の名前がクレジットしてあります。こういうことも実は当たり前にされるべきなのに、あまり見ないですよね。なので、凄くいいなと思いました。

1点、振り付けに関して気になったことがあります。オリジナルの振りと同じような箇所がいくつかあるのですが、その部分の合意は取れているのかどうかというところです。なぜなら、ダンス業界において、例えば「マイケル・ジャクソンといえばムーンウォーク」といったように、先人が作り出したシグネチャーのようなムーブがたくさん存在するのですが、音楽や書籍とちがって、ダンスの中のひとつひとつの動きというのは、著作権などで保護されるような仕組みが無いんです。つまり、自主的にクレジットを入れるなど、リスペクトし合う関係性でのみ成り立っているんです。(今は仕組み化しようという声も多く上がっていると聞きます。)

払われた使用料に、そこまでちゃんと考えられ、含められていることを願いたいです。

j-hopeのヘアスタイル

さて、この記事をここまで読んで、CNSのミュージックビデオを最後まで見た方なら、あることに気づくと思います。そうです、J-hopeのヘアスタイルです。

「これはロックスヘアを模したものじゃないのか?これはまずいのでは?」
・・・こう思った方、どのくらいいるでしょうか。

私はオタク用語でいうところの割と強火のARMYであり、限界オタクなのですが、間違った社会や、理不尽な境遇にある弱者を置いてけぼりにしたくないので声をあげますが、私は動画の後半でこのヘアスタイルを見た瞬間、正直がっかりしました。一応ネットをチェックしましたが、やはりブラックの方々を中心に、このヘアスタイルをCultural Appropriation(文化の盗用)だと非難する声が上がっていたことも確認できました。また、それに対して、「これはジェルでツイストしているだけだ」と擁護する声があったのも確認しました。

これらの擁護コメントについては、やはり文化の盗用を理解していない・しなくても特に困らない特権的な立場の方の、「推しが責められているから守りたい」という問題の本質を無視したものなので、良くないと思いました。この件については言い逃れ出来ないと思います。なぜなら文化の盗用というものは、文脈を常に考慮する必要があり、ここでいう文脈では、j-hopeがHIPHOPのカバーをしているときにこのヘアスタイルをした、ということです。明らかにヘアスタイルも黒人文化にインスパイアされたものだといえるでしょう。j-hopeは普段ジェルで髪の毛を日常的にツイストしているわけではないので、やはりこのMVのために、安易な考えでブラックのスタイルを演出したかったのではと考えられますよね。

この件については、おそらく公式から一度も話題に上がっていませんが、沈黙を貫いたり、言い訳したりするよりも、謝罪することが一番だったと思いました。

当時、声を上げたマイノリティに対して、j-hopeサイドをかばって、文化の盗用の声をあげた人たちを反撃するような現象が起きていたみたいですが、文化の盗用の概念を知らない状態で、巨大なファンダムが束になって当事者に逆ギレする様は、地獄絵図だと思います。先に解説したような「ブラックヘアの境遇を知らない・知らなくても暮らしていける」特権側が、大挙してマイノリティの訴えを封じ込めることになりますので。

これらの経験を通して思うのは、やはり盲目的に全肯定しながら推すのではなく、今何が問題になっているのかを一人ひとりが知ろうとすることや、提起された問題に飛び込んで、自分の頭で考えてみることはとても重要で、その繰り返しがBTSとARMYを、BTSとARMYが理想としている世界へ引き上げてくれるのではないでしょうか。ファンダム全体で意識の底上げをしていくこと。それこそ、私がこの記事を書こうと思った最大の動機です。

追記1:DVDの中にCNSを含まなかったことについて

一つ大切な事に触れるのを忘れていました。
BTSは最近、去年開催したオンラインライブをDVD化して予約販売を開始しました。そのライブでは、メンバー全員でCNSを歌って踊るパフォーマンスが含まれていましたが、今回販売される中からは外されています。

‘Chicken Noodle Soup’ @ BTS 2021 MUSTER SOWOOZOO

j-hopeのソロ曲を7人全員でパフォーマンスしたことで、このパフォーマンスはここでしか観ることの出来ない特別感もあり、これが円盤化されないことにARMYからは不満の声が多く上がりました。
BTSの映像商品は、世界中で莫大な収益を上げることはわかっているので、この曲をDVDに含めてしまうと、CNSからさらなる儲けを生んでしまうことになります。
事務所側はもしかしたら何かしらの条件で交渉を試みたかもしれませんが、それでも結果的に入れなかったという決断は、原作者に敬意を示すことになると言えるでしょう。

追記2:j-hopeがJ.Coleとコラボしました

CNSという曲を通して、私はj-hopeの文化に対するリスペクトの強さを、他のKPOPアーティストには全く見られない画期的なものだと思いました。そして、そういうリスペクトがあったからなのか、2023年には、j-hopeが敬愛しているJ.Coleとコラボ楽曲を出したのですが、私は歌詞や、MVを通して、そのコラボがただ商業的なものではないとても心の通ったものだと感じました。

追記3:j-hopeがストリートダンスのレジェンドたちとコンテンツを作りました

2024年3月に、’HOPE ON THE STREET’というダンスのドキュメンタリー映像をリリースしました。これは、私がj-hopeが本当に文化を大切にしている人だなと確信した出来事になりました。この動画でj-hopeは、ダンサーとして、自分が影響を受けた様々なダンスを、レジェンドダンサーたち一人ひとりのもとを訪れ、ダンスを通してコミュニケーションし、改めて自分のクリエーションのルーツを探るようなものでした。

ここで出てくるダンサーたちは、私より上の世代のレジェンドばかりで、特にニューヨークで訪れたElite ForceのLinkはHIPHOPダンスのオリジネーターの一人だし、パリで訪れたYugsonも、レジェンド中のレジェンドの一人です。トレンディな若手注目ダンサーとのコラボもできただろうに、彼にとってはだいぶ上の世代であるそういう人たちに会いに行って、彼の影響力をもって、レジェントダンサーを改めてファンに向けて紹介するという行為には敬意を感じましたし、j-hopeは本当に文化を大事にしていると思いました。今までこんなKPOPアイドル(個人的にはj-hopeはアーティストと思っています!)いなかったと思います。

さらに、彼らの紹介、インタビューそしてソロのダンスも見せて最後にコラボして踊るという流れで、彼らダンサーを主役にしているコンテンツの作りもとても良いと思いました。

さいごに

既に説明したように、「文化の盗用」というのは個人間の問題ではなく、その文化圏にいる人全てに関わりのあることなので、「j-hopeやARMYがこれだけやったから」、「BiancaとDJ Webstarが満足しているから」、これは盗用にはならない、ということにはなりません。これをやれば盗用、これをやれば盗用じゃない、というような明確な線引はなく、必要なのは、文化を借りる時に、借りるものの責任として、その文化に対するリスペクトを忘れないことです。

リスペクトというのは、その文化への理解です。その文化を理解すれば、その文化圏の人が何を必要としているか、私たちは何をすべきか、というのが見えてくると思います。サポートにも様々な形があります。自分の頭で考え、自分のできる範囲で、貢献し続けていくことが大事です。

文化を借りる側の人は、自分はその文化を自分のコミュニティに伝えるメッセンジャーだと自覚しましょう。その文化のコアな部分が途切れたり間違った解釈をされないように気にかけていくといいのかなと思います。

私は、ARMYになったのは最近ですが、BTSが過去にやってしまった過ちを、遡って調べることで知りました。間違いを指摘されるたびに謝罪したり、勉強したり、楽曲で示したり、彼らなりの形でアップデートしてくる姿を見ました。

私も過去に無知がゆえに、たくさんの間違いをしてきました。マイクロアグレッションで平気で人を傷つけたことも多いと思います。ですが、人間誰しも間違えることはあります。間違った時にどう対応するかが大切ですし、誠意を持って対応している人に対しては寛容になる必要があります。そのうえで、その間違いを学びに変えることができれば、一人ひとりが成長するし、それがファンダムなら、ファン全体の意識も底上げされると思います。

「間違うことが怖いから話題に出さない」
「首を突っ込んでいいのかわからないから初めから入らない」
「めんどくさいから中立の立場でいる」
「アイドルくらい何も考えずに平和に推させて」

私も過去、こんな風に思ってました。今わかるのは、そう思えるのは自分が何も困っていないマジョリティ側にいて、訴えている人たちに共感しようともしなかったからだということです。
声を上げるのは境遇に不平等を感じているマイノリティ側の場合がほとんどです。マジョリティはマイノリティの境遇に気づきさえしないことも多々あります。でもマジョリティの力なしではマイノリティの境遇を変えることは難しいです。だから、マジョリティが積極的にマイノリティの声を拾い上げて大きくする必要があるんです。

もっと多くの人が、出来るところから小さなアクションを起こしていける世の中になるといいなと思います。これからも、BTSのARMYとして、大好きな7人を推しながら、誰一人置いていかない優しい世界に貢献できるよう、自分のできることをやっていこうと思っています。

こんなに長い記事を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

この記事は前編・後編の二本立てです。前編をもういちど読み返したい方はこちら!


Japan for Black Livesについて

わたしたちは、日本国内にある黒人差別の現状を、日本にいる多くの人に認識してもらうべく発信しています。差別問題はまず現状を知ることから始まります。そして学び、当事者の声を聞いて共感し、共に声を上げ、改善するアクションを起こし、ともに世の中を変えていきましょう。メンバーは こちら。お問い合わせや講演などのご依頼はメールでお願いします。

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