〉人種差別的な職務の改善を求める署名に賛同ください

ブラックフェイスのメイクを落とす動画をコスメブランドの広告に ―「Ariul」広告の問題と、これまでの全経緯


2026年5月末、ある化粧品広告に関する悲痛な訴えや怒りの報告が当団体に多数寄せられました。それは、韓国のコスメブランド「Ariul (アリウル)」のメイク落としシートを宣伝する、Instagramのリール動画広告です。

この広告には、国際的に極めて深刻な人種差別行為とされる「ブラックフェイス(黒塗り)」の描写が含まれていました。当団体はこの問題を重く受け止め、広告を展開したマーケティング会社およびブランド側へ誠実な謝罪と再発防止策を求めてまいりましたが、あらかじめ設定した回答期限(2026年6月26日 23:00)までに誠実な対応や謝罪文の公表が行われることはありませんでした。

人権侵害表現を「黙って削除すればなかったことにできる」という企業の姿勢は、グローバルビジネスにおいて断じて許されるものではありません。ここに、日本国内での人種差別根絶と注意喚起、そして企業としての説明責任を問うため、事実にのみ基づいたこれまでのやり取りのすべてを公表いたします。

寄せられた当事者の声と、該当広告の差別性

事の発端は、2026年5月31日、日本で暮らすブラックルーツ当事者の方や、そのご家族から当団体へ寄せられた複数のDMでした。

「広告にブラックフェイスしてる人が出てきてドン引いてます…😭」
「美容家の女子が、拭き取りメイクリームーバーの凄さを見せるために顔をブラックフェイスにしてたんだよね
で、海外組から『あのさー』って来てたし、日本人の方も何人か言うてた。」

※原文ママ

報告を受け、当団体が実際に確認した広告動画の概要は以下の通りです。

インフルエンサー A氏とブランド日本公式 @ariul_jp のタイアップ広告動画のスクリーンショット

また、この広告のコメント欄には、ブラックフェイスの表現を指摘したり批判するコメントが日本語、英語を中心に本当に多く寄せられていましたが、インフルエンサーの方が動画を非表示にしたあとも、Ariulのアカウントからの広告は配信され続け、批判のコメントもそのままでした。

この演出に潜む2つの重大な人権侵害

1. ブラックフェイス(黒塗り)そのものの差別性

顔を黒く塗る行為(ブラックフェイス)は、19世紀の米国ミンストレル・ショーに端を発し、黒人当事者を非人間化して嘲笑するために用いられてきた、歴史的に極めて残酷な差別の象徴です。現代の国際社会において、いかなる理由があろうとも商業広告でこれを使用することは明確な人権侵害とみなされます。

ブラックフェイス|2023年になっても出てくる「黒塗り」はなぜ?人種差別への理解や認識が著しく低い日本人像を浮き彫りに

2. 「黒い肌=落とすべき不浄・汚れ」という悪質な構造

さらに問題なのは、メイク落としで黒い肌を「洗い流すべき不要な汚れ」として描写し、「それを落とすことで『本来の綺麗な素肌に戻る(=黒い肌を落とすべき不要な汚れ、元の肌を綺麗で清潔な状態として扱う)』という演出に落とし込んでいる点です。」これは、有色人種の尊厳を深く傷つける歴史的な人種差別構造そのものです。

内々での幕引きを図るマーケティング会社

当団体は6月3日、Ariulの日本公式アカウント、当該のインフルエンサー、さらには韓国の公式アカウントやグローバルアカウントを含む全8アカウント、そしてAriulグローバルサイトの「お問い合わせフォーム」へ、即刻の広告取り下げと公式な説明・謝罪を求める抗議文をそれぞれの言語で送付し、インスタやThreadsのコメント欄にも同様の訴えを行いました。


※Ariulグローバル(@ariul__global)のThreadsでは、黒人女性モデルを起用して多様性を表現しながら、日本市場でのブラックフェイス抗議には一切返信しないという「ダブルスタンダード」の状況も確認されました。

公式アカウントやインフルエンサーからの返信が一切ない中、翌6月4日、該当広告のマーケティングを代行しているという「株式会社LIVO」の代表 パク氏より、突然DMにて連絡が入りました。ここからのやり取りのすべてを公開します。

① Webミーティングの提案(6月4日〜6日)

LIVO社
パク代表
LIVO社 パク代表

インフルエンサーの事務所側と話をしている状況。本日Webミーティングなどでお話しできる時間があれば幸いですが、可能でしょうか?

当団体
当団体

口頭でのやり取りにおける認識の齟齬を防ぐため、また当団体の多様なバックグラウンドを持つメンバー(ミックスルーツ、アフリカ系アメリカ人、その家族やアライ)全員で内容を正確に共有・精査するため、Webミーティングは辞退します。

すべてのやり取りを記録の残る「テキスト」で行うよう要求いたします。

② 相手方の「言い訳 (釈明)」と、当団体による見解の提示(6月6日)

LIVO社
パク代表
LIVO社 パク代表
  • 「差別的意図は一切なかった」
  • 「インフルエンサー側は、日本で一時期流行っていた『ガングロ』のギャルスタイルを真似した演出であったとのこと」
  • 「弊社もガングロギャルスタイルの演出と理解していた。認識が不十分だった。大変申し訳ございません」
  • 「Ariul社は関与しておらず、弊社の判断で動いたもの」

── これは「ガングロ」ではないので、その釈明は受け入れられません

そもそも、日本の「ガングロ」やギャルカルチャーにおける肌を黒く塗るスタイル自体、ブラックカルチャー(黒人文化)の文脈を無視した消費であり、文化の盗用や差別の観点から国際的に問題視されるべきテーマです。当団体として、それを無批判に肯定するつもりはありません。

その前提の上で、表現の客観的事実としても、今回の動画は当時の「ガングロメイク」の定義やスタイル(独自のハイライトや様式)には全く当てはまりません。

今回の動画は、単にファンデーションを必要以上に濃いトーンで顔全体に塗っただけの、明らかな「ブラックフェイス(黒塗り)」です。たとえ元々の意図がどうであれ、この描写をメイク落としの商業広告の演出として用いた時点で、国際的な人権基準において明白な差別表現となります。

また、「Ariul社は関与していない」とのことですが、ブランドの商品やロゴを使用した公式なコラボレーション広告である以上、ブランド全体の管理体制や姿勢が問われる問題であり、代理店側の一存のみで完結できる事案ではありません。流れてきた広告を見ている一般ユーザーにとっては、それは「Ariulが打ち出す広告」そのものだからです。

当団体は、内々での口頭の謝罪で済ませるのではなく、人権侵害や不適切な表現が発生した際に一般的な企業であれば危機管理の観点から当然行うべき基本的な対応として、社会に対して誠実に説明責任を果たすよう、【公式な経緯説明および謝罪文の公表、ならびに具体的な再発防止策】を求めました。必要であれば当団体がドラフトをチェックすることも可能であることもお伝えし、さらにはブラックフェイスについて学んでいただけるような記事や、韓国語や日本語でブラックフェイスの問題について啓発している方の書籍等の資料も共有し、無知による加害の深刻さを伝えました。

2週間の沈黙と、弁護士を盾にした期限無視

しかし、この誠実な要求に対し、株式会社LIVOのパク代表はメッセージを既読にしたまま、2週間近く一切の返信をストップしました。広告を黙って削除し、DMの対話も無視し続ければ、そのうち風化するだろうという「サイレント幕引き」の意図は明白でした。

当団体は無視による風化を許さないため、6月23日、同社に対し「このまま対応を放棄されるのであれば、これまでの不誠実な対応の経過を含めて公式ステートメントとして公表する」旨を告げ、【6月26日(金)23:00まで】に回答するよう、最終デッドラインを設定しました。

パク代表は、翌日6月24日、それまでの沈黙を破り以下の返信を行ってきました。

LIVO社
パク代表
LIVO社 パク代表

本件に関しましては弊社の顧問弁護士の方に相談しています。今後については弁護士の方と相談して対応いたしますので、何卒よろしくお願いいたします。

人権侵害の事実に向き合い、誠実な公式謝罪文を世に出すという社会的な要求に対し、彼らが選んだのは、みずからの非を認めることではなく、「顧問弁護士」という盾の後ろに隠れて防衛体制を敷くことでした。

当団体はすぐさま、「弁護士を交えたご協議の上であっても、要求の必要性や期日に変わりはない」旨を伝えましたが、設定された6月26日(金)23:00の期限を迎えた現在に至るまで、社会に対する公式な説明も、謝罪文の公表も、一切行われていません。

私たちの見解

株式会社LIVOおよびAriul側の対応は、現代のグローバルビジネスにおける国際的な人権基準や、企業の社会的責任を著しく放棄したものであると言わざるを得ません。

「間違った表現で人を傷つけてしまった」と気づいた時点で、速やかに公式な説明と謝罪を行い、二度と同じ過ちを繰り返さないための体制を構築するのが誠実な企業のあり方です。

日本にある人種差別は、こうした「無知ゆえの加害」と、それを指摘されたときの「保身のための隠蔽・無視・時間引き延ばし」によって温存され続けています。

私たちJapan for Black Livesは、この不誠実な対応を決して看過しません。本レポートの公表をもって、国内外の消費者に対し注意喚起を行うとともに、Ariulの海外グローバル本社および韓国本社に対し、日本国内における運営・代理店が人権侵害の指摘を無視し、対応を放棄している事実経過を証拠と共に正式に報告いたします。

私たちは、すべての当事者が傷つけられることのない社会を目指し、これからも一切妥協せず、毅然とした態度で活動を続けてまいります。

皆様のご支援と、この問題に対する注視をよろしくお願い申し上げます。

2026年6月29日

本記事におけるプライバシー保護および知的財産権の取り扱いについて
  • 当団体へ寄せられた一般の当事者・市民の皆様からの通報内容(DM等)につきましては、個人のプライバシーおよび安全を最優先に保護するため、アカウント名、ユーザーID、アイコン画像等を完全に秘匿(黒塗り加工)した上で、公益目的の「実害の証拠」として必要最小限の範囲で引用・掲載しております。
  • 該当広告の動画スクショにつきましては、インフルエンサー個人の名誉感情や肖像権に配慮し、目元等にモザイク加工を施しております。本掲載は、個人に対する攻撃ではなく、グローバルブランドの商品を扱う企業による「広告演出の差別性」および「企業の社会的責任」を客観的に検証・批評することを目的とした、著作権法第32条に基づく正当な範囲内での引用です。
  • 株式会社LIVO様とのやり取り(DM)につきましては、一般個人の私的な通信ではなく、重大な社会的責任を伴う「法人・事業者としての公式な窓口(企業公式アカウント)」で行われた業務対応であると認識しております。そのため、事態の風化を防ぎ、消費者の知る権利と公益を最優先とする観点から、法的な名誉毀損に当たらない「客観的事実の記録」として公開しております。なお、やり取りを行ったアカウントは一般個人の私用アカウントではないため、法人としての責任の所在を明らかにする目的から、アカウント名や公式ロゴ等は加工せずそのまま掲載しております。