TEDx Sophia U で日本の職務質問とレイシャルプロファイリングについてスピーチしました。

Dave Chappelle(デイブ・シャペル)「8:46」※日本語字幕

アメリカの人気コメディアン、デイブ・シャペルによるショーです。日米のNetflixへ、日本語訳の追加を何度もリクエストしたのですが叶わなかったので自分たちで翻訳して字幕を付けました。動画には一部、過激な表現がありますのでご注意ください。

アフリカン・アメリカンに対する一連の殺人・暴力について語っています

このショーは2020年5月25日に起きた、黒人男性ジョージ・フロイドさんが米ミネソタ州ミネアポリスの元警官デレク・ショービンに8分46秒の間、膝で首を地面に押し付けられて亡くなった事件をきっかけに、その翌月の6月12日、感染症対策を考慮のうえ、限られた人たちに向けて野外の小さな会場で行われました。

参考リンク:この事件は約一年後に決着しました

2021年4月20日、殺人などの罪に問われた元警察官デレク・ショービン(Derek Chauvin)被告に対し、すべての罪について有罪評決が下されました。このうち最も重い第2級殺人の最高刑は禁錮40年。
白人の元警官に有罪評決 フロイドさん殺害で
https://www.afpbb.com/articles/-/3343117

まずはじめに、デイブ・シャペルを知らない方へ。デイブのぶっきらぼうな態度や、下品な言葉づかい、タバコを吸いながら話す様は、彼のいつもどおりのスタイルです。ただこの日のデイブは、心からの怒りと悲しみと落胆の気持ちでステージに立っています。27分と少し長い動画になりますが、以下、ぜひご覧ください。

※注意:Youtube等にUPできなかったので直接サーバーにアップしているため、回線によって自動的に画質を落とすなどの処理ができません。スマホ回線から観るともたついて止まってしまう可能性があるため、Wifiなどのインターネット回線でご覧になることをおすすめします。

ちなみに動画の中でデイブが度々話題に出しているキャンディス・オーウェンズ(Candace Owens)についても説明します。彼女は黒人女性で、保守派の政治活動家です。もともとはトランプや共和党に批判的な立場でしたが、突如一転して支持派となり、その後はトランプをサポートし、BLM運動を一貫して批判しています。

彼女は、警察による人種差別的な扱いや暴力を、都市伝説であると言い放ち、ジョージ・フロイド事件に関しては、彼に犯罪歴があることを持ち出し、「ジョージ・フロイドは素晴らしい人ではなかったのに、「殉教者」として一夜で犯罪者からヒーローに成りあがった」と発言しています。この様な発言はSNSでも度々観られ、Twitter社は彼女のこれらの発言に対して、トランプにしたのと同様、「人種差別を助長する」として発言を削除したりアカウントを凍結したりしてきました。

参考リンク:キャンディス・オーウェンズ

なぜブラック・ライヴズ・マターを批判するのか?
http://www.ele-king.net/columns/politics/007955/

アフリカン・アメリカンの人たちにももちろん色んな人がいるし、一枚岩ではないです。彼女のような思想をもつ人や、それを擁護する人は、アメリカだけでなく日本にも一定数いますが、まずはっきりと言えるのは、ジョージ・フロイドさんが過去に何をしたという話は、あの場では一切関係ないことであるということです。そもそも相手が誰であれ、過去に何をしてきたとしても、この事件で議論されるべきことは、警官の判断によりその場での「私刑」が許されてはならない、ということではないでしょうか。

日本でブラックライブズマター運動をサポートすることの意味

この事件をきっかけに、これまでずっと何度も繰り返されてきた、警官の黒人に対する暴力や殺人、不当な逮捕等々への怒りが頂点に達し、みなさんもご存知のとおり、2020年のブラックライブズマター運動は世界中に波及しました。私たちも6月には都内を3500人で大行進しました。

我々日本人、特にずっと国内で生活をしている人にとっては、自分がマジョリティの立場であることが当たり前なので、彼らマイノリティの立場にたって共感することは容易ではないのかもしれません。

周りの人たちから支持を得られないもどかしさや、「日本でやって何の意味があるの?」と言われる悔しさも耳にします。そういう時に思い出したいことは、日本人はブラックカルチャーと密接に関わっているということです。普段私たちが聴くほとんどの音楽のルーツはブラックカルチャーです。(HIP HOPやR&B、ブルースだけだと思っていませんか?ジャズ、ロック、パンク、ファンク、ソウル、テクノ、ハウス、その他多くの現代ミュージックはブラックミュージック発祥です。KpopもJpopもそうです)。そして、ストリートダンス、バスケットシューズやストリートファッション、メイク、ヘアスタイル・・・数え切れないほどのブラックカルチャーが身の回りに溢れています。だから、私たちは彼らの素晴らしい文化の恩恵を受けるだけではなく、その文化を生み出した人たちのことを考える必要があります。

「自分たちに関係ないのに、声をあげていいのかわからない」という声を日本人の方からよく聞きます。ですが、とんでもありません。上記に挙げたように日本人にも大きく関係しています。差別問題は犠牲者、被害者の問題ではなく、システムやそのシステムを作った人、そのシステムに疑問を持たずに生活している人の問題です。だから当事者だけが抗議活動をするのではなく、周りの人たちこそが声を大きくして世の中に訴えかける必要があります。マジョリティの声が大事なのです。

意識的に差別を認識し、共感しようとしなければ、自分の持つ特権に気づかないかもしれません。

私たちに置き換えて考えてみましょう。例えば、長年に渡って自分の一族が、別の全く知らない日本人に理由もなく何世代にも渡ってひどい嫌がらせを受けてきて、時にはリンチによる殺人で身内が亡くなっていると。その子孫だからという理由だけであなたの祖父母や両親までも殺されたり、職業や教育の機会に恵まれなかったりしていると。政府も自分たちに不利な仕組みを変えようともしてくれない。事件があって警察を呼んでも初めから犯人扱いされ、言い分も聞かずに狙われることもあるから、事件に巻き込まれても警官を信用出来ず、呼ぶのをためらってしまう。このままでは自分の子供の世代も心配。。。
どうでしょう、不安と絶望と不満で気がおかしくなると思いませんか?もう限界だ、自分の代で終わりにしたい、と思いませんか?そういう怒りや痛みなどのトラウマを抱えた人たちが集まって、結束力を徐々に強くして、一丸となって立ち上がっている、という状況だと私は思っています。

私たちには到底想像や理解が及ばない、想像を絶するようなストレスを、日々彼らは抱えて生きているということを常に忘れないようにしたいです。
「でも暴動は駄目っしょ」「あなた達にもなにか原因があるんじゃない?」
なんて、その立場にいない我々が言うべきことではないと思いませんか?

そもそも暴動はごく一部で、ほとんどが平和的に抗議活動をしています。また、暴動に発展するケースでは、警官隊による無慈悲なテーザー攻撃、ペッパースプレー攻撃、組み伏せて逮捕したりなどに立ち向かう中、状況が過激にエスカレートしたものや、またはBLMと全く関係のない人たちが紛れ込み騒動が大きくなるように扇動されることもあります。

ニューヨークはクィーンズでラッパーとして活動して今は日本を拠点にしているKOJOEさんの当時のInstagramの投稿

私は当時、#BlackoutTuesday ということで皆さんが真っ黒のスクエアをインスタに投稿していた時、この中で、自分自身も含めどれだけの人が今アメリカで起きていることを真剣に考えているのだろうかと思いました。ブラックカルチャーの恩恵を受けている日本人は本当に多いです。だから、今ここで立ち上がらなければ、本気でサポートしなければ、と思い、このJapan for Black Livesを立ち上げました。
そして、このKOJOEさんの投稿を見て、デイブの動画を観て、日本語で届けたい、届けなければならないという気持ちを強くしました。


この長い動画を、まさにデイブが日本語を喋っているような絶妙な言葉のチョイスで翻訳してれたメンバーに心から感謝します!
翻訳:Mio S. / Cheetah
翻訳・字幕:満屋ケルピィ絵美


私たち Japan for Black Lives について

私たち Japan for Black Livesは、黒人差別についての理解を深めてもらうために活動しています。メンバーはこちらInstagramTwitterFacebookLINE、そしてこのサイトを一緒に運営していただけるボランティアを随時募集しています。気になる方は各種ソーシャルメディアからダイレクトメッセージをお送り下さい。取材や講演のご依頼はメールでも受け付けています。japan4blacklivesにアットマーク以降はgmailです。

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